google tag

My Soundcloud Channel --- Testing :D

Friday, September 07, 2007

今日のICアンプのナゾ:台風上陸記念スペシャル

台風接近中と言うことで早く帰宅して暇だったので書き散らしてみる事にする。
---
Jeff Rowland といふ 高級オーディオメーカのパワーアンプの出力段にNational Semiconductorの一ヶ2ドルのパワーアンプICが方チャンネル6ケ、だったか、計1ダース使われているらしい...と言う事を知った時はちょっとした衝撃だった。しかしそれが意外と結構評判がよいらしい。結局アンプなんてある程度の性能が出てればなんだってかまやしないのではないか、という気もする。 前後して、Tripathの1chipデジタルアンプICを用いたアンプ基板キットを組んで、それが自分的に驚きの音質であったので、元々希薄であったオーディオ関連商品に対する興味が、なお一層無くなってしまった。王侯貴族や石油王が買うようなハイエンド商品は、そもそも失業したら路頭に迷う様なサラリーマンが買う類の商品ではないわけであるし、100万円のアンプの中身がICであるとか、100万円のディスクリート構成の高級アンプが1万円の安物デジタルアンプにブラインドテストで負けた、なんて記事をどこかで読んだりしてるうちに、結局アンプは工学的にアンプであれば何だって構わない、ICアンプだって十分に音楽が楽しめるという確信を強くしたわけである。
---
Philips の TDA1552 と言う、ちょっと古い品種だけれど、20W2ch BTLのB級アンプがあるのだけれど、これは外付部品が入力のカップリングおよび電源のパスコンぐらいしかない、という代物で、つまり簡単にステレオアンプが作れてしまうわけで、結構人気がある様である。 音質も悪くないと思う...と言うのはこのICは 昔パソコン用に買った JBLのMedia3というアクティブスピーカーに使われていて、これが安物のくせに癖がなくけっこういける音質...と私自身知らずに使っていたのである。( chセパレーションとかPSRRのスペックがあまり良くないけど、これはVref端子が外に出てなくて容量で接地出来ないから..? ケミコン一個減らす為...?? あるいみ潔いのかな)

でこのICを使った自作が流行っていたり、このICを使ってアンプを作るマニュアル本が出てたりしている。そのマニュアル本を見て...びっくりしたのが、いきなり初心者に 空中配線をやらせるという著者の意識レベルである。人にモノを教えて、本を売って金をとるという行為は"プロ"の仕事と言って良いと思うが、そのプロが素人に一般的にプロは絶対にやらない、やってはならない 空中配線をやらせる... のはプロ意識の欠如ではないか、と思う。ああいう実装方法はアマチュア的であって、"本当はいけないのだけれど、自分で使うだけだから目をつむる" というレベルのモノなのだ。あるいは プロもやる事のだが、あれこれ試行錯誤をする"ブレッドボード"の作り方だ。ブレッドボードはあくまで実験用に作るもので配線や部品の切り貼りを行うからプリントパターンなど起こせない、だから空中配線...となるわけで、本来趣味で作るものであっても実用に供するモノに応用してはいけない実装方法なのだ。初めてハンダごてを握る純真無垢な人になんという事を教えるのだろうか... 空中配線なんてやらなくて済むならやらない方がよいのに...

出版するという事は少なくても数千部は出るのだろうから、だったらPCB起こして付録にしてもたいしたコストは掛からないだろうに、ICだって数千個単位ならかなり安く仕入れられるだろうから基板+ICが付録で 500~1000円 upぐらいにできるのでは... 大人の科学の学研がやれば絶対に出来るぞ...なんて どうでもよいお節介を妄想してしまう...

---
まぁともかく、かくも左様にICアンプの自作記事なんかがネットに色々上がったり、先の様な書籍が出版されたりと、なかなか面白い傾向であるなぁ、と眺めていたのであるが、一方、やはりICというモノの原理とか本質はなかなか理解されていないものだなぁ、という記事や掲示板の書き込みに出会うこともままあるわけである。考えてみるとICを使った事がある人、見た事がある人は多いだろうけど、その中身が実際にどうなっているのか、知っている人、見た事がある人はほとんど居ないのだろう。知らないから正しい知識もないわけで、元々がブラックボックスだから勝手な想像をするしかないわけで いい加減な事を実施したり、それを他人に吹聴している...という感じなのであろう、と思う。

でまぁ、そういう無知な人にICアンプの中はこうなっているのだよ! と簡単簡潔に説明 するには.. どうしたらよいか...なんて事をちょっと考えてみたのである。 とりあえず 紙にアイデアを書いてみて .... 挫折した ^^;) 分からない人に分からせるのはやはり難しいし、紙に一枚二枚の図面じゃ説明できないのは自明だし、まじめにやったら本になっちゃうし、本書く程パワーないし..

と言う事で、簡潔にまとめるとか、図を清書するとかは止めにするけれども、一応スケッチと要点をあげておく事はしておこう、と思う。

---
--- INSIDE THE POWER AMP IC ---


スケッチ、といより落書きだなこりゃ ^^;)


  • ICの心臓、シリコンチップは リードフレームの中央の アイランドと呼ばれる金属板に接着され (パワー系のICはハンダでつけます...小信号のものは銀ペースト) チップ上のボンディングパッド と フレームのリード部の間を 金線で接続して導通をとる。それを モールド樹脂で固めて、リードに滅金をかけたり足を切り離したり曲げたりして、あのICの形にするわけですね。 あとパワー系のICはたいてい放熱用の金属板が付加されている。スケッチは TDA1552のピン配置を参考に、たぶんこんな風になってるはず、という想像図で、当たらずとも遠からず、なはずです。写真探してみたけど無いし(あたりまえか...) さりとて自分が関係した某機種の図面出す訳にもいかないから(守秘義務違反...) いい加減なスケッチで我慢してください。....ちなみにモータードライバーだろうがSWレギュレータだろうがパワー系のICはたいていこんな感じのチップになっている...ちなみにICのリード(足)は結構脆い。曲げ伸ばしは基本的にしては行けない。やってみれば分かると思うけど、2,3回なら折れないかもしれないけど、4,5回越えるとポロッと来る。抵抗やコンデンサーのリードと比べると材質が硬いせいか、遥かに弱い。当り前であるけれどICのリードは元々ユーザーサイドで曲げる事は考えていないのだ。だからICの足をあれこれ曲げてぐちゃぐちゃ実装する”空中配線”なんて、してはいけないのだ... (自己責任でやっても良いけど、それを素人に推奨したり、ましては売り物なんかにしちゃいけない)
  • 電源電圧に余裕のあるIC、または一昔まえの回路形式では 出力段はエミッターフォロワーの SEPP、いわゆる準コンプリメンタリーまたは純コンプリメンタリーが定番。普通のOP アンプも同じ。ちなみにコンプリメンタリーと言っても ディスクリートのコンプリ程特性が揃うわけではない。ディスクリートの場合はそれぞれ別ウェハー、別条件の別機種だからそれぞれを特性を合わせ込めるが、ICは一つのチップ上に両方作りこまなきゃいけないので、構造も特性も始めから合わない... プロセスによってはPNPの特性出すのはやはり難しいので下側もNPNで疑似コンプリってこと。
  • 最近のカー用アンプなどは、出力をGND-VCC間目一杯に振らせる必要がある(出力スペック要求が高いから)ので出力はコレクタ出し、上側 PNPで下側はNPN が定番。出力がMOSの場合は上がPch,下がNchでドレインが出力。 あとポータブル用低電圧なやつも同じ。電源電圧目一杯有効に使うという事ですね。 Rail-to-Rail なOPアンプと同じ形式。
  • デジタルアンプの出力素子は、上Pch下Nch と 上下共Nchの二つの場合がある。 PchはNchよりどうしても能力が劣るので素子面積ががどうしても大きくなってチップサイズが大きくなって原価が上がる...から上もNchにする事が多いのだが、上のNchをONさせるためには当然VCC以上の電圧が必要になるのでブートストラップとかチャージポンプとかの回路が必要になる...
  • IC上のトランジスター、抵抗その他の部品はシリコンのpn接合で分離されている。逆に言えばすべてpn接合で繋がっている。 同じ原理で、IC上の素子には、それに寄生する形でpnダイオード、 pnpやnpnトランジスター、場合によってはサイリスターの様なものまで寄生する事になる。
  • しかし正しく回路が組まれ、正しくチップが設計されて、電源やバイアス、GNDなどが正しく接続され、正しい動作を挿せている限においてはそれらの寄生素子はICの動作に影響を及ばさない。
  • 逆に言うと、不適切な使い方、動作範囲を越える不適切な電圧を与えたり(とくに負電圧に注意)すると寄生素子が動作しはじめ、異常な動作モードに入る。ICは正しく動作しないばかりか、破壊を起こす事がある。
  • 従っ て、データシートやアプリケーションノートに書かれた応用回路から外れた動作をさせてはならない。アマチュアユーザーが思い付きで考える様な事(使わない チャンネルの電源を繋がないで殺す、とか バイアスのフィルタ端子に外から電源を加える、とか複数のGNDピンをばらばらに接地するとか...)を実施した場合致命的な動作不良、信頼性的な劣化等想像外の影響を及ぼす事もありうる。問題がおこるか起こらないか、はICの中がどうなっているか、で決まる。 ICは ブラックボックスであり、通常内部の正確な等価回路やチップのパターンレイアウトは多くの場合非公表で、それを知るのはIC設計者、メーカーのみである。従って、一 般ユーザーはやってよい事、悪い事は判断ができないわけであるから、まずはデータシートやアプリケーションノートに従うべき、である。
  • 電源ピンが複数ある、とか、数種類の電源電圧のピンが出ている、と言う場合、それぞれ独立した外部電源でバラバラに供給してしまうと、それぞれの電源のon/offタイミングなんかも問題になるかもね。さらに注意すべきなのは複数のGNDピンがある場合。 たいてい PGNDとかSGNDとか複数GNDピンが出ているけれど、これらはICの足に近い所で全て同電位になる様になるべく太い配線でそれぞれを完全に接続すること。 それぞれを別ラインで遠い場所で一点アース、なんてのはICアンプでは愚の骨頂。安易にそんな事をしてPGNDとSGNDに電位差が生じてしまうと動作不良を起こすとかIC壊す可能性がある。PGNDってパワー部だから大電流流れて電位がもちあがるし、ふらつく、SGNDは小信号だからあまり電流は流れないからふらつかない。だからそれぞれ別の配線で遠くで接続しちゃうと、当然電位差が生じる、のだが、ICの中の事を知っていればそれがどれだけ恐ろしい事か... 実装して 誤動作しない事が確認出来ているならともかく、もし理屈がわからなければ、ともかく推奨の応用回路とかプリントパターン通りに配線すべきです。 IC焼いたりスピーカ飛ばして痛い目にあって学習したい、と言う自虐的な方はICの中の事を無視した自己流で配線するのも一興、止めはしませんが...
  • も しあなたがセットメーカーの技術者であれば、ICメーカーに問い合わせれば必要な情報、応用回路の検討等のサポートが得られるでしょう。しかしアマチュア 相手にそれをしてくれるメーカーはまず皆無。そのかわり、各社それなりのデータシートやアプリケーションノートを発行しているわけである。一にも二にも、 勝手な応用はしないで、それらに従うべき。
  • もちろん 個人がポケットマネーで買った部品をどう使おうと誰に文句を言われる筋合も無い事である。中身がわからないんだから解析して使いこなすというチャレンジ精神はすばらしい。しかし理屈が説明できない事をあちこちに書いて、いわゆる"初心者"を惑わすのはどうかな、と思いますがいかがでしょうか? 自らマニアと呼ぶ様な人のなかには、たまに物理法則や光の速度さえ越えてしまうよくわからない理論を振りかざす人がいるものだけれど、所詮アンプなんて電子回路なんだから電気や電子の理論が信用出来ない人は本来回路なんか触っちゃいけないんだよね... 電気がよくわからないのに抵抗やコンデンサ、配線材などの銘柄をやたら気にしたり...不思議な世界だと思う...
  • 大きなお節介だけれど、電源のコンデンサーに桁違いのとんでもない値のでかいモノを使うのを良くみますが、アンプの出力をショートさせたりした場合かなり悲惨な事になると思う。 IC燃やすぐらいで済めばいいけど、ボヤなど出さないで下さいね。 一般的に、カー用のICはかなり厳重な天地絡保護、出力ショート保護がなされている(カーオーディオメーカーの要求...) のだが、あまりに巨大な容量値だと保護回路効く前にこわれちゃいそうな....インダクターでも居れて突入に時定数をもたすといいかもしれないけど..何ごとも程々が肝要だと思いますよ。 そういう極端な実装を見ると、暴走族こと珍走団が駆る 車高短タケヤリ羽付き満載の族車、珍走車をおもいおこします。 珍走団式アンプとでも命名しようかな...
  • ICの単価って、実は驚く程安いのですよ..アナログだろうとデジタルだろうと....作る側からみると涙チョチョ切れですよ、本当に。秋葉原の小売価格はメーカー側から言えば考えられない値段。まぁ売ってやるだけありがたく思え、という足もとを見た商売ですね。ただたくさん売れるものじゃないし、売れなきゃ不良在庫だし、小売の手間賃を考えると仕方ないのだろう。メーカーも在庫があれば最低1000個単位ぐらいでしか取り引きしないから、売れなきゃ小売がまるかぶり...だから高い値付けになるわけね。ただせめてメーカー出荷価格の4倍程度おさせて頂きたい。でなきゃ buy one take one 、 今と同じ値段で一つオマケしてやれ。そうすれば在庫掃けるし、買う側も喜ぶし、卸元への注文数だって確保しやすいだろうに。半額にしたって足でないはずだぜ...某店の値付けを揶揄して "ボリ松"なんて言う人が居るけどそう呼ぶ人の気持はよくわかる。
---
....書いているうちに段々支離滅裂になってきたのでこの辺で...^^;)