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Wednesday, October 10, 2007

今日の学研のおもちゃテルミンのナゾ

ご存知学研の大人の科学にテルミン登場...ということで、つい買ってしまった。2300円と微妙な値段。買う前から、ちょっとこれは怪しいかも...なんて気がしたのだ...が

学研のサイトにはご丁寧に付録の組みたて説明書がPDFで置いてあったので事前に読んでみたのだが... なんか、ものすごく ショボい、チャチな感じが... 雰囲気的に感じられたのだ。

なのだが、しかし非常に気になるので結局買ってきて、早速組み立ててみた訳だが、説明書通りに組み立てただけでは、正直いってこりゃアカン! という代物だった。




チューニングが合わせられないのだ。 ゼロビートに持ってゆくのが非常に困難。いや、調整時はゼロに持っていける。でも、押えてる手をちょっとでも動かすとビートがすっとんでしまう... 調整ドライバを離した瞬間ブーっ! と鳴る...

そもそも感度も良くないし... とても本に出てるように”練習してみよう!" なんて気にもならない、つまり練習以前に楽器としてダメダメ、なのである。 よく商品化にしたなぁこれ... と言うのが正直嘘偽りのない私の感想、第一印象です。

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でまぁ、ちょっとだけ工学的に考察してみると、一応高周波の発振器が2基搭載されていて、それぞれバリキャップで周波数調整する様にできている。そのうち一基の発振器の容量が外部のアンテナに繋がれ、アンテナに手をかざし動かす事によって人間の手との間に介在する静電容量を変化させ、それがすなわち発振周波数の変化として現れ、もう1基の発振器とのビートが音声となって現れアンプで増幅して音を出す...

という原理なのであるが、この学研のテルミンは筐体が見ての通りプラスチック。全然シールドがとれていない。これを手にもってチューニング...となると、その手と基板上の発振器が結合してしまう...2基のうち1基は基準発振器であり周波数は動いては困る、のに、シールドが全く取れていないため、その手と基盤上の配線で結合がしてしまうはずだ...加えてもう一つの音程を決める可変発振器の方も同様に結合しているだろうから、チューニングを合わせたつもりで、そっとその手を動かす...それだけで、周波数がぶっ飛んでしまう...

まぁ、うまくチューニングが合ってなくても、ビービー音が鳴ってる時にアンテナにかざす手を動かすと、確かに音程は変わる..が、ちょっと演奏してみようか、という感じじゃない。

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で、こりゃ、空き缶か何か、金属の筐体に基板を納めないと安定しないんじゃないかな、と思ったが、こんなもの改造してみたところで... 外部端子出してみると面白いかも?? でもこの回路じゃねぇ...最低LPF噛ませたいし、大体この音、アンプで既にクリップして歪んでんじゃない??

ゲイン無しでバッファのみにすればよいかもしれないが.... いやそりゃだめか.....大体二つの発振器を抵抗で繋げて直でアンプICに入れてる所が非常に妖しい...抵抗ミックスでヘテロダインって原理的には無理なんじゃ? ...出来たら無線屋さん大喜びだろ...おかしいよこれ....、もしかして、ICアンプに.わざと直に高周波入れて飽和させて...ってこと??...だからクリップしてビービー言ってるの...? うーむ....

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[なんとなくそんな感じではないか、という推理というか妄想]

はじめに回路図見た時は高周波をいきなりアンプに入れるなんて野蛮だ! ICが可哀想だ!!と思ったが、このテルミンはそれが故、ちゃんと音が出ているのではないか?という未検証な推理...

アンプはLM386かそのコンパチ品みたい。だとすれば、その入力端子はPNPのベースであり、そのコレクタは回路GNDに、エミッターは差動PNPのベースに接続しているはず。これは入力端子の電位をGNDレベルに保ったままアンプ入力として使う為の回路。で、入力は GND基準として見た場合 波形の マイナス側は 入力PNPのベース(Trのエピ)と SUB(IC基板)とのpn接合の Vfまで許容範囲となるはずで、それ以下ではクリップする、というか入力PNPが動作しなくなる。 で、二つの発振器の入力を抵抗で混ぜてこの入力に入れると、GND基準で+側はともかく-側は先の理由でクリップ、丁度ダイオード検波みたいな波形になる... 抵抗で混ぜた高周波の元信号は、二つの周波数のぶつかった波形で、丁度SSBDSB (BSB) の波形というか、そういう感じになるだろうから、その波形の上側のみ増幅され下側は削られる...結果として、全波整流の波形みたいにカマボコが並ぶ様な波形になる...アンプで増幅できない高周波は自然と減衰して、音声帯域のかまぼこ波形が出てくる...つまりこのテルミンの音声出力は本来のうなり成分の正弦波にならず、高調波歪み成分たっぷり。普通のテルミンはその辺手抜きなく作っているから正弦波にちかい クリーンな音がでる、が、学研テルミンはそういう理由で ビィいゐ〜という音になる... アンプ直結は一見無謀に見えるが、このテルミンの発音する要になっている...

のかな??

PCのマイクとbaudlineを使ってその音を解析してみた


見方によっては 全波整流波形っぽい...???
アンプでクリップした様な、もっと汚い波形を想像していたけど、わりと綺麗だ。
ファンダメンタルに対して2次、4次が比較的的大きい...ので、すこし甘みのある音味になってるのだろう...

もっとも音程によって波形はいろいろ変わるけど...
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だいたいこんなモノにも表面実装部品だ...あれこれ弄るなんてオヂサンにはつらいよ.... どうも 解説にあるように改造してみよう、なんて気もおきない...

しかしともかく、このままでは 玩具以下のガラクタだ。 お遊びで手に持ってブーブーと言わせるにしても、もっとマトモにチューンできないかなぁ、と考えたのが次の改造、というか改造未満の改良。 これは効果があった。

御覧の通り、電池BOXのマイナス端子を金属テープで外部に引き出すのである。



手持ちの銅箔テープを用いたが、アルミテープでも構わない、と思う。電池ホルダーのバネに挟む形で電池のマイナス端子(GND)を筐体おもてに引き出すのである。



で、この引き出した"GND端子" に手に触れる形で筐体を持ってチューニングして、そのまま演奏を行うのである。 要するに回路のGNDを人体に接続してやる事によってアンテナ-人体間の静電容量とその変化を大きくしてやる、という訳である。 チューニングも、GND接続前と比べると格段に安定する。 ただし引き出したGND端子から手を離してしまうと周波数ぶっとんでしまう....改良前と同じ事になる... なので、これは手持ちテルミン、という事になる。

これでなんとか、テルミンらしく演奏してみる気になったが...
↓とっても酷い演奏なので、気分を害さない程度にVR絞ってね^^;)



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と言う事で、GND端子を出して左手の指でそれを触りながらチューニングをとったり演奏してみると良い、という事が分かった訳で、この学研のオモチャがダメ、なのは、プラの筐体でGNDが取れていない事に問題があるのだと思う。 筐体から手をはなしての演奏、は、元のままでは無理、だ。 アルミの弁当箱みたいなのに組み換える、接地をきちんと取る、ぐらいしないと、ダメかも??

あとアンテナ、これダメ。細くて揺れ過ぎ...
エンピツかににかに導線まいてヘリカルっぽく作る、とか、短いアンテナの頭にキャパシターハット付けて容量稼ぐ、とかすればよいかも...

と言いつつ ひま潰しで、ジャンクのロッドアンテナつけてみたりして...



ふらふら揺れないからピッチも安定する... けど、音程のずれも目立つ様になる...


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とこんな具合... まぁ、オモチャだから仕方がないか... と言う感じでした。
もっとも、電子技術者だったら、もっとマシなモノを自力で作れなきゃいけないんだろう、と言う気もしないでもない... これをきっかけにすごい自作テルミン作る人も現れたりして...

あとこれ、家族居る人、結構顰蹙かってるのでは?
ブーブーピーピィ五月蝿い! なに屁ぇこいてんねんええかげんに晒せぇとか言われてたりして ^^;)