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もう20年以上は前になると思うのだが、なぜだかHP48G/GXというHPの電卓に興味が出て買い込んでしまうと言うことがあった。最初は秋葉原の今は亡きT-Zoneで Gの方を買って、後日GXをこれまた今は亡き米国のEduCalcという電卓専門店の通販で買ったのであった。使い方の解説本なんか個人輸入で買ってみたりもした。結局この弩級の電卓のごく一部の機能しか使いこなせなかったが、それでも無限スタックのRPN式の便利さ、Solbar という方程式の自動計算などはとても役立った・・
流石に今は四六時中電卓を叩くというわけもなく、使用頻度はとても低くなったのだが、ちょっと計算する時には無くてはならないものでもある・・イザとなったらRS232C接続のシリアル端末にだってなるスグレモノでもある・・
(Debian3.0の頃の古い写真だけど)
---さて、先日、何時もの様に計算しようとHP48Gの電源を入れてみるが立ち上がらない・・!
HP48は単4を3本使うのだが、使用頻度が低いと電池の交換頻度は年単位でかまわないぐらいぐらいだ。この前何時電池を買えたのかはっきり覚えてないけど、電池切れか、入れた電池がスカだったかも、という事で電池を交換してみたのだが動かない・・・
ONキーを押したり、あれこれいじってみると、突然立ち上がったのだが、今度は逆に電源が切れない、Cancelキー(ONキーと同じ)も効かないなど不審な挙動・・そしてリセットをかけてみても症状が変わらない・・・
20年以上の古いものだし、何かの部品が壊れたのかもしれない・・と思いつつ、もう1台のHP48GXの方を取り出してみたのだが・・・ どういうわけかこちらも同じ症状が発生していた・・ 故障としても、2台とも同じ症状なんてありえるのだろうか・・機種もロットも違うんだし・・ 今年は2015年、ソフトのバグで2015年問題とかがあるのかも(PCと同様日時年月日を表示するリアルタイムクロックが入ってる)・・などと思った・・・
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結局困った時のGoogle頼み、Googleさんに聞いてみると・・・
https://www.google.com/?hl=en&gws_rd=cr#hl=en&q=HP48%E3%80%80on+key+problem
色々出てくるのだが、
https://groups.google.com/forum/#!topic/comp.sys.hp48/RvfzLHeqZ1E
どうも、キーボードの信号バスをメイン基板に接続する部分の接触不良で、接点のコンタクトを取るために樹脂で圧力をかけてる部材が経年劣化で痩せて圧がかからなくなってしまうらしい・・ 言われてみると、フロント面を押すとミシミシと言うようになっている・・遊びが出来てしまっている証拠だ。
つまり、電源が入らない、逆に電源が切れないのは、バグでも偶発的な故障でもなく、この機種の持つ欠点による運命的な故障であったようだ。
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修理は出来なくもないらしいのだが、そもそもHP48は非破壊で分解できない構造で、無理やり溶着リブを壊してパネルをこじ開けるという荒っぽい事になってしまい、それはそれで別のリスクがある・・のだが、そこは世界中に愛好者の居るHP電卓なので、とりあえずこうすればOK的な回避方法があった・・
LCDの下、ファンクションキーB〜C間の上当たりを指で押しながら ONキーを押せばよい、ということらしい。 たしかに、魔法のツボ、秘孔といった感じだが、丁度キーボードからのバスが基板に接続されるとこらへんを押すと接触が戻るということらしい。
YouTubeにupしてる人が居た↓
たしかにこれで使える様になったので、ひとまずは安心なのだが、とてもしっかり作られ、20年以上普通の使えて、まだまだ使えるはずの物が、ある日突然使えなくなる、それも2台とも、という事に遭遇して、びっくりしたのと、永遠なんてものは無いという当たり前の現実、人も機械も古くなると劣化するという現実を味わったのであった・・
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2015/11 追記2000年代初頭にHPは電卓の自社開発を完全にやめてしまい、OEM調達のHPブランドの電卓は機能はともかくキータッチなど品質面であまり評判もよろしくなく、という事となった。RPN式および、あのカチっとしたキー操作に慣れきった人間として、故障したら困るので、保存用として、現用の2台とは別に、GXを一台購入してデッドストックにしている。当時、オークションでは転売屋が、中古ですら妙に高いプレミアを付けるなど、非常におかしな様相だったので、個人輸入で普通の値段で買えるうちに買っておいたものだ。
と言うことなのだが、・・なんと、いつのまにか、症状が収まっている。フロントパネル回りに出ていたギシギシ、ミシミシという緩みも感じられない・・
もしかしたら、気温が下がって、室温も下がって、パネルの緩みも収まって、接触があんていした、のかもしれない・・
ということは、来年の夏季にまた症状が出るのかもしれない・・
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当時の私のサイト(今は消えてしまった)の記事を読み返してみると、2003年、転売屋の不当な釣り上げに憤慨したらしく、海外では普通の値段で新品を中古より遥かに安く買えたのでザマミロ転売屋とか書いてあってある。品薄のものに目をつけて買い占めたり不当にプレミアをつける商売というのは嫌なものですな。
しかし、結局樹脂の経年劣化という弱点があるのでは、せっかく手に入れた新品の予備と言えども使わずしてもいずれ同じ症状に陥るので、あまり意味はなかったのかもしれない・・・
無論、今時電卓をありがたがる時代ではないけれども、それでもこのちょっとゴツい、そしてリアルなしっかりしたキーの具合、機械としての操作感のよさは何者にも代えがたい。スマホのアプリで再現しようと、タッチパネルではこの操作感だけは真似できない。
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2020/12/16 追記 未使用保管品の液晶が腐った・・・
結局電源スイッチの症状は慢性化して今日に至る。
それはともかく、長らくしまいこんでいた、上記の未使用新品(デッドストックしていたもの)についても確認してみたくなったので、箱から出してみると・・・ディスプレイ上になにやら黒いシミのような物が発生しているではないか・・・
電源を居れてない状態
電源を入れても変化なし・・・
実体顕微鏡でみてみると・・・・ ドットとは無関係にみえる
なんとなく、液晶のドットより上の層になにかありそうだが
LCDを構成している部材に何らかの変質が起きて黒くなったのだろうが、内部のことなのでどうしようもない・・・ 使わないうちにダメになったというお粗末な結果に。特別過酷な場所に保管していたということもないし、なぜこうなったのか分からない。
何れにせよ、無駄な投資になってしまった・・・ 残念