メイボーは有名なブランドだけど、この9x35というスペックのものはネットに情報がないので、メモとして記すことにした。
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ハードオフなどのリサイクルショップには、双眼鏡のジャンク品がよく転がっていたりするのだが、たいてい異様に高い倍率のOMEGAだのSUPER ZENITH などという怪しいブランドだったり、そして当然ガタガタ、ボロボロ、カビだらけで、ろくな物がない。記事にはしてないけど、一度だけ例外的にジウジアーロデザインのNikonの小型の良品がコロッと出てきたことがあった、ぐらいだ。だからいつもスルーするのだけど、今回は、あれ、というものが置いてあったので、カビてはいたが、入手してみた。
モノは FUJI Meibo の 9x35 というボシュロム型センターフォーカスの双眼鏡。日本の双眼鏡メーカーの代表と言えばニコンか、フジノン、という事になるけど、そのフジノンの元というか昔のブランドのもの。 当たり前のようにカビていたのだが、500円だったので、ダメ元で入手した。
こんな感じでプリズムがカビカビ、対物レンズ裏にもカビがすこしあった・・・
カビカビなんだけど、覗いてみると、かなりシャープな像で、視野も広く、軽くて持ちやすく、9倍という高めの倍率にしては手ブレしにくい、かなり素性の良いものだった。
で、カビ取りが出来るかどうか、ダメ元で試行錯誤した。そもそも素人が双眼鏡を弄るというのは常識的に忌避とすべき行為で、そもそも専門の工具、治具や光学測定器、そしてなによりスキルがないと調整もまずできない。まさにダメ元。だから、分解時、ひとつネジが固着して回らず無理やり回してネジ頭や外装を痛める、という様なバカもしてしまったが、まぁジャンクだし、これぞダメ元。
接眼側を開けてプリズムのAssyを取り出し、カビてるガラス面をエタノールで拭いてみたのだが、全く取れない。ガラスに食い込んで侵食してるのかとおもって、一度諦めたのだが、ちょっと悔しかったので、再度開けて、家の掃除などに使うアルカリ電解水(強アルカリの汚れ落とし)を使ってみたら、エタノールで取れなかったカビが、かなり綺麗になった。カビが喰ったガラス表面は変質してどうしても跡が残るのだろうが、カビそのものであろう白いものは、かなり除去出来た。
残念ながら、2つのプリズムの接合面というか対向面はAssyに組まれたままだと、当然表に出ないので拭けない。従ってその部分は汚れが残ってしまった。 もちろん2つのプリズムを外してバラせば拭けるのだけど、金具とパテで固定されている2つのプリズムを外すと、もとに戻しても調整が狂って、元通り正しく調整はできなくなるから、いじれるのは、ここまで。
写真では大分綺麗に見えるが、実際はもっと汚いし、チリなども入り込んでいる。それでも元よりはマシになった。プリズムをAssyから外さなければ、Assyそのものの脱着で光軸などが大きくズレたりはしないようだった。ネジ止めできっちり精度が出るようにできている様だ。もしここが狂うと、本当にジャンクなゴミになってしまう。
対物レンズのウラ面のカビや曇は、接眼側から鉗子にペーパーを巻きつけ突っ込んで、アルコールなどでクリーニングした。乱暴だと思うが、対物レンズをバラして外してしまうと、再度組み込んでも光軸調整が狂って、素人ではまず調整不可能になるであろうから仕方がない。
という事で、カビカビなジャンク双眼鏡が、少しマシになっただけなのだが、ジャンクと割り切れば普通に使えるし、分解体験というか、ジャンクいじりのリクレーションとなった。
メイボーは双眼鏡としては有名ブランドだけれども、この9x35 というスペックは、ネット上に情報がない・・ ストラップが本革というのも時代を感じさせるので、何時頃の商品か知りたかったのだけど、どうもわからない。60〜70年代前半ぐらいのものなのかな。
検索すると 7x35 などはほぼ同じ形のものがあるのだが、9x35というのは、なぜか見つからない。Nikonには9x35があるようだが、Meiboは見つからない。 9倍で7.5度の視野というのは、結構広い、面白いスペックだと思う。軽くて持ちやすいので、9倍でもけっこうブレが気にならない感じ。
今、お金を掛けてプロに修理依頼する程のものではないと思うけれど、元々はしっかりと作られた良い商品だったのだろうと思う。 コレクターでもないので、深く追求はしないけど。
おしまい