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Wednesday, July 15, 2015

今日の SONY TCM-5000EV ベルト交換とテープディレイ実験のナゾ

DIY修理memo : SONY の3ヘッドモノラルテレコ、TCM-5000EVのジャンク品を修理してテープディレイを実験してみたというお話
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昨年Yamaha のMT50というMTRを入手、最近ではSONYのTMC-400のデッドストックを入手...など、マイブーム的に益々気になるカセットテープレコーダーなのであるが、先日はとうとう禁断の不動作ジャンクに手を染めてしまった。

SONYのTCM-5000EV というモノラルの3ヘッド機である。並のテープレコーダーだったら手を出さなかったと思う。でも3ヘッド機だと色々遊べる要素にもなる。いかにも古くて動かないという風情だったので、見つけた日には買わなかった。1週間後も売れずに残っていたので、ものは試しと言う事で購入してみたわけである。おそらくベルトの交換だけで治るだろうという賭けである...


試しに動かしてみると、短時間は動いて音も再生したのだが、しかしすぐに止まってしまう、巻き戻しは出来るが早送りが出来ない、という感じであった。とりあえずモーターや電子回路は生きているという事なので、ベルト交換で治る見込みが高まった・・・という事で開腹・・


この機種は裏蓋を開けて基板を外さないとメカが現れないのだが、基板の配線が蜘蛛の巣の様にはりめぐされ、それが基板上にあちこちテープに貼り付けられたり、基板に針金で結わえ付けられていたりと、ガチガチに固められている。ポータブルという事で余計に処理しているのだろうが、基板を外すのにとても手がかかる。メカ部を露出させるには、あちこちテープを剥がしたり、基板に植えられた針金を緩めて配線を開放させたり、ハンダごてで数カ所配線を外す必要がある。

つまり、メインテナンス性がとても悪い。どちらかと言うとプロ向けの機材でありながらこの実装、実体はプロ向けにも使えるがプロ機材としては安価な、所詮はラジカセ的なもの作りから発展派生した民生品という事なのだろうと思う。基板をぱかっと扉の様に持ち上げられるぐらいの設計だって出来るはずだが、こういうものに定期メンテナンスやサーヴィスの容易性を気遣う発想はなかったのだろう。


四苦八苦しながらなんとか基板を外すとメカが現れる・・・
ここまで来れば、ベルト交換そのものは特に難しいという程のものではないのだが・・・


ベルトは使えそうな汎用のものを探せそうだ、という事が解ったうえでの不動作ジャンク購入だったのだが、この機種はゴムアイドラーも使われている。このアイドラーのゴムもベルト同様劣化していると思われるが、これは交換部品が無い。ベルトだけ交換しても完全動作しないリスクもあることに気づいた・・・

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とりあえずベルト交換であるが、この機種は4本使われている。

ネットに転がっていたサービスマニュアルを読んでみても部品番号は分かるけれど、サイズなどは書いてない。純正部品は既に入手出来ない。なので、劣化したベルトのサイズを調べて、それより少し小さい物を探す必要がある。

取り外した4本のベルトの現状(劣化後の伸びたもの)サイズは、直径に直すと概算で

80mm太さ約1mm, 43mm太さ約1mm , 30mm太さ約1mm, 60mm太さ約0.6mm

他の物はともかく、30mmのものは伸びてるという感じもしないのでこのサイズが適性なのかもしれない。他は明らかに伸びてる気がする。

交換ベルト入手は、最初アマゾンのマーケットで売られている汎用品を試してみた。サイズ色々詰め合わせというもので、購入したものは、現状43mm, 30mmのベルトの箇所に合うものは(微妙に太さが違うものの)入っていたが、肝心のモーター直、メインのキャプスタン用の現状80mmの箇所のものは入っていなかった。また太さ0.6mmのカウンター用のものも当然入ってなかった。

と言う事で、千石電商のネット通販で手に入れた。とりあえず70mmと75mmを入手し、どちらも使える事は確認できた。ゴムは伸びるのでどちらがよりオリジナルに近いのか、判断が難しい。75mmだとゆるい気もしたが、ベルトそのものの負担は減る、とりあえず滑らずグリップする事は確認出来たので、70mmと迷ったが結局75mmで組むことにした。

またカウンター用は現状でゆるゆるに伸びてしまっているのだが、無くても構わないものであり、千石でも入手出来ないので、古いものをそのまま使う事にした。カウンターは負荷が軽いらしく、伸びきってゆるゆるでもちゃんと回っている。

結局、TCM5000EVのカウンター用を除くベルトを揃えるとすれば、幅1mm程度の角ベルトで、30mm, 40mm, 70mmか75mm あたり という事になるのかな。

それが適正か、信頼性や寿命が満足出来るかどうかは不明であるけど、純正部品が入手できないので、あくまで動けば良い程度の修理になってしまう。

拾ったサーヴィスマニュアルに各種調整が書かれていたが、どれも測定用の基準テープや機材などが必要で、それらを持っていないと確実な調整は難しい。機械的なオーバーホールもできれば良いのだが、相当な覚悟と器用さ、慎重さが必要だと思う。

要するに、こういう素人のジャンク修理というのは動けばOKという程度のもので、あまり人に推奨したり自慢したり出来る物でもないと思う。素人が小遣い稼ぎの為にちょっと弄って動くようにして高値で売り捌くというのは責任感に欠ける気もするし、逆にプロが機材を駆使して完全オーバーホール、調整すれば、恐らく相当の工数のかかる、つまりかなり値の張る仕事である事も確かだ。

結局こういう行為は、自己責任で、自分の為だけにDIY修理を楽しむ、というのが正しい姿勢だろうと思う。

根が不器用なので、ベルト交換後の再組み立てもちょっと手間取った。


分解時にほぐした配線の処理に困ったり、一部ワイヤを挟み込んで傷をつけてしまったり、裏蓋のシールド板のGND配線のラグが折れ曲がって基板に接触してしまい妙な発振を誘発したり・・・なぜか消去機能が効かず古い録音と音が重なってしまったとか...

フロントパネルはアルミ製らしいのだが、接着が完全に乾いて外れかけていたので、のり(あるいはテープ?)の残骸を剥がして、両面テープで接着しておいた。

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と言うことで、最終的には、一応”完動品”にすることが出来た。
ベルト交換で一応動く様になった。ただやはりアイドラーも劣化してるので、巻き上げ側のトルクがかなり弱いなど、新品同様になるわけではない。あくまで動けば良い程度の状態ではある。


こんなものを修理して、今更カセットで録音したいものがあるわけでもないのだが、世の中から消えてしまってみると、過去に置き忘れてきた物に対する未練なのだろうが、こうやって手元に置いて、たまに回してみたい、という気持ちが強くなる。若い頃は常に新しい物を良しとしてた様なきがするので、こういう心境は人間として劣化、老化したせいなのかもしれない。

iPodなんて弄っていても面白みがない。


でもこういう"電池とモーターでガチャガチャ動いて音の出る本当のキカイ"は、やはりどことなく面白みがある。触って、感触を確かめ、納得してみる、愛でるアイテムという存在なのかもしれない・・・

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さて、このTCM-5000EVを選んだのは、"ソニーのデンスケ"というブランド要素な上に、機能的には3ヘッドで、再生速度可変機能も付いているからである。

3ヘッド機はテープディレイに使える要素だし、再生速度可変は、以前 TCM-400で実験したような楽器性もある。

と言うことで、早速楽器遊びの延長として、テープディレイの実験をしてみた。


こんな感じの接続にするとテープディレイとして使えるのである。テレコ音声を受けてるチャンネルのAUXが、ディレイで言うところのフィードバックに相当する。エコーとして響かせたり、フィードバックで発振ぽく音が連続したりする。以下が実験結果の動画



本機はVORという、音声が入ると自動録音される、という機能がついているのだが、音声が入ってからモーターが起動し録音開始されるまでのタイムラグを補償するために、なんとBBD素子を使ったアナログディレイが内蔵されているのである。

つまり、テープディレイを構成すると、通常モードで得られる録音ヘッドとモニターヘッドの距離に相当する遅延に加えて、VORモードではBBD素子の回路的なディレイも加わる、即ちディレイタイム2段切り替えになる。BBD素子を通ると周波数特性が悪くなるのだが、独特のくぐもったいかにもアナログディレイ的なLo-Fi感が出る。残念ながら録音時にテープスピードは変えられない(回路を見る限り簡単に改造できそうだが)。

また録音アンプはゲインが自動可変で、コンプレッサー的というか、リミッター的という独特のAGC的な音になり、それがテープ系の天然のサチュレーション感と加わり独特な感じの音になる。

これを常用するつもりはないけれど、こんな簡単な接続でも楽器性の延長としてなにか作れそうなポテンシャルはある様な気がする。テレコとは面白いものだと改めて気づいた次第である

おしまい