以前どこか、海外のサイトだったけれど、真空管アンプ用の回路シミュレーターというのを見掛けた。前世紀の遺物と言えるデバイスを半導体技術の結晶であるPCを使って設計するというのは面白くもあり妙な感じもする。 さらに、ちょっと調べてみると、真空管のSpiceモデルを自分で作ってSpiceでシミュレーションしているという人が居たり、世の中広いと言うか、賢い人がいるものである...
Spiceと言えば、このまえLT社の LTSpiceをLinuxのWineで走らせてみたわけであるが、これを使って真空管回路のシミュレーションをしている人達が居る...という事を最近知った、ので、真似てみる事にした。
この辺をそのまま参考に、というか、書いてある通り猿真似てみたのだが...
http://www.geocities.co.jp/kosmac/
LTSpiceの使い方 ...ここに書いてある通りに下記サイトのスパイスモデルを導入...
http://ayumi.cava.jp/
真空管のスパイスモデル
一番の肝は真空管のスパイスモデルで、これがないとどうしようもない...こんなのを地道に作って公開してくれる人が居る、なんて..それも日本人.....素晴らし過ぎる...
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で、上記サイトに書いてある事を猿真似しただけ、でも動く事がわかったので、昨年作った Elekitの TU879S の回路を試してみた...トランスはインピーダンス比が実際は 3000:8 であるが そのものずばり、はないので、 3500:8 のものを選んだ...
TU879Sは昨年組み立てて、主に"ヘッドフォン"を鳴らす為に使っている...
そして、一番知りたかった事、本来 負荷インピーダンスが 8ohm前後である事を前提にしたアンプの負荷を120ohmと した場合にプレート電圧がどれぐらい振れるのか...という事...を見てみる事にした...
---- 8 ohm 負荷 ----------------------------
クリップしてはいないが、上下非対称...シングルらしい歪み?
ほぼ公称定格入力...クリップしはじめてる
完全に入力オーバー...でも球の定格は越えない様だ....
---- 120 ohm 負荷 ---------
負荷が軽いと歪みが少ない...
公称定格入力... すでにクリップ...
完全な入力オーバー... プレート電圧がピークで1kV近く...
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まぁ予想通り、というか、負荷が軽くなるとプレートのスウィングが大きくなる...のは当り前、として、まぁ普通に音楽を聞く範囲、 大きく歪まない入力、であれば問題ないか、というギリギリの所には留まっている、と思うのだが、入力過大になるとちょっと心配な領域に入ってしまう...のも事実...
真空管アンプは無負荷で入力を入れてはいけない、というのはこういう理由があるのだ...
歪みに関して、波形を見ての通り負荷が軽いと目に見えて歪みが少ない...実際SPで 聞こえる”真空管臭い" 音が、ヘッドフォンではあまりそれが感じられない....という聴感と一致している...
どの程度正確なのか知る由もないが、FFTかけてみるとこんな感じ
8 ohm 負荷 ---------
二次がどーんと出てるけど
120 ohm 負荷----------
歪んでないよこれ...
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とまぁ、本当は実物を実測するべき、なのだが、測定器無いし....でもこういういい加減なシミュレーションでも、この様にそれなりに定性的な検証が出来るから、それはそれで納得出来る...
それから、ここでも見られる様に、真空管の音なんて、目に見えて"歪んだ"音なのだが、それが慣れて来ると、そんなに悪くも聞こえない...のも事実... 要するに本来的に、と言うか 工学的には 絶対に Hi-Fi ではないのだが、歪みはエフェクターとして作用する... という事なのだろう... そもそも人間の耳は歪んでいる! という話もあるぐらいだからね...