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Tuesday, November 03, 2015

今日の SONY MX-670 を分解してみた・・

memo: SONY の MX-670 という6ch ミキサーのジャンク品を入手したので、とりあえず整備がてら分解してみた・・
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以前から、ハードオフに、ソニーのミキサーのジャンク品、それもかなり汚い感じのものが動作未確認でありながら数千円などという値札がついていたりしているのを見かけていた。
デザインもよく、割としっかり作られている様でもあり、しかし本格的なプロ用とまではいかない、学校や企業での簡易PA用途なのかもしれない、そんな感じで見ていた。

つまり、興味はあったけれど、買うほどのものもでもないという判断だったのだが、先日、初めて訪れた店舗で、割と綺麗な状態のものに540円という値札がついていた・・
(ポータブル機なのだが蓋が欠品だったが・・)

ガラクタを増やしてどうする、とも思ったけれど、500円だし、部品取りにしても安いんじゃないか、という事で買ってしまった。

ネットにはあまり情報がない機種でマニュアル類も拾えなかったのが残念だがとりあえず調査とガリ取りの為に分解してみたので、簡単にレポしてみることにする・・・
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そこそこ厚い、黒のアルミヘアラインのパネルはなかなか綺麗だ・・昔はそれなりの値段がついていたんじゃなかろうか・・


基本は6chのマイクミキサー、1,2はphono端子でRIAAイコライザ付き
4-6はライン入力付き、マイクにはフォンジャック、フォノとラインにはRCAコネクタと入力が分かれている。各chはパンポット付き、AUX送りはなし。
各入力フェーダーの横のフェーダー状のノブは、フェーダーポジションを記録する、ただのマーカーらしい。


アナログのVUメーターが付いてるのがポイントが高い。
実用性というよりは、メーターが振れるアナログ感を愛でるいアイテムだと思う。

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分解は特に悩むことはなかったのだが、入力とパンの丸いノブが非常に強固に固着していて取り外すのに苦労した。


普通の、ローレットのVR軸に押し込むノブなのだが、抜けどめなのだろうが、シャフトに傷がつけられ、それがノブを非常に抜けにくくしていた。指で引っ張って取れたのは数個のみで、仕方がないのでドライバー類でパネルとの間をコジる感じでなんとか引き抜いた。シャフトが抜けるんじゃないか、と思うぐらいかなりの力を要した。


フェーダー、ポット類は、しっかりしたスチールのフレームに実装されていた。


ガリ退治は、VRの隙間に楊枝に巻いたキムワイプにアルコールを含ませて汚れを拭き取るという形で行った。本当は分解したり、洗浄できればよいのだろうが、これ以上バラすのは大変だし不器用なので壊すリスクが格段にあがるから。

接点復活剤は少量塗布が出来ずベタベタになるので、仕上げとして、キムワイプに軽く含ませて表面をふいて、あとは乾拭き、という感じにした・・ 

フェーダーのスライドVRはNobleの20KΩAだった・・

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この機種は、なんとOPアンプなどのICは一つも使われていない。
全回路、完全なディスクリート構成で、入力アンプ、フェーダーの載ってるバッファアンプ、送り出しのラインアンプ、そしてヘッドフォンアンプ、何れも、2SC2785と2SC1345の2石で構成されていた。



未確定:読み違いがありそう・・

 どんな回路か、解析しようか・・と思ったのだけど、根気がつづかず止めてしまった。写真に撮って追ってみたのだが、写真だと素子の値やシルク印刷に隠れたパターンが読み取れなかったり、かと言って実物を表裏を交互に見たり導通を確認しながら接続を追ってゆくには大きく重すぎる・・やりかけたのだが、フレームのエッジで指切ったり、面倒くさくなったので挫折した・・


  入力側の基板はこんな感じ・・


ライン入力はRCA、マイクはフォンジャックと分かれている。
パンポットのノブは回転角が180度になっている・・


ぱっと見本格的なVUメーター・・


照明内蔵のメーター。節電のためか、照明はLIGHTボタンを押して数秒光るだけ


メーターとして、多分本当の意味でのプロ用の規格では出来てない気がする・・が、適当なものであっても、アナログメーターは見ていて楽しいのはたしかだ・・


  電源、ラインアンプ、ヘッドフォンアンプ回路・・
ヘッドフォンはトランスでインピーダンス変換して出している模様。回路は調べてないけど、ラインアンプ同等のものをトランスで整合させている様で、トランスを直接出力TRの負荷とするA級シングルとかAB級プッシュプルとか、そういう回路ではないみたい。
75ΩのAKG K270だとモニターはできるけど音量はかなり小さめ。もっと効率の良いヘッドフォンでないと大きな音は出ないようだ・・
メインのコンデンサは端子片方がクラックで外れていたので修正しておいた・・

1980年前後の商品なので、ケミコン類は心配だけど、総とっかえするのも大変だし、500円ジャンクに手間暇かけて整備する程のものでもないかなという事でそのまま様子見・・

入出力も、フォンプラグ仕様の方が使いやすいので改造してみたい気もするが、とりあえずは保留・・

単2が8本が電源、ACアダプタは12Vでセンターマイナス。基本的にはポータブルなミキサーというコンセプトで、バッテリー駆動で長時間使用出来るように、という意味でICが一つも使われていないのかもしれない。
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 ラジカセを繋いで試運転・・ガリも取れて、全チャンネル、ちゃんと鳴る事を確認・・・


このミキサーには、接続機器調整用として440Hzオシレターが搭載されているのだが、若干ピッチが高めにズレてるのと、メーターのフレが左右で若干差があった・・
本来は調整するのだろうが、このメーターをみて正確にレベル調整をする、というものでもないので、とりあえず放置・・
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ネットではマニュアル類などは拾えないのだが、サービスマニュアルをebayなどで売っていたりもして、その出品物の表紙の写真から、なんとか一部スペックが読み取れたので、最後に要約してまとめておく。
SONY MX-670 Specifications
電源 DC12V, Cセル8本 または AC-12アダプタ(12V, センターマイナス)
消費電力DC 0.75W 
電池寿命Sony Super Batteries SUM-2Sで約25時間 
MIC入力 6系統 (フォンジャック)
入力感度 0.31mV (-68dB) 低インピーダンスマイク用 
ライン入力 4系統 (RCAコネクタ)
入力感度 98mV (-18dB)
入力インピーダンス 82 kohm 
フォノ入力 2系統(RCAコネクタ)
入力感度 2.2mV (-51dB)
入力インピーダンス 50 kohm
RIAAイコライザ 
カスケード入力 2系統(RCAコネクタ)
入力感度 435mV (-5dB)
入力インピーダンス 68 kohm 
ライン出力 2系統(RCAコネクタ)
出力レベル 435mV (-5dB)
負荷インピーダンス 10 kohm以上 
ヘッドフォン出力(TRSステレオ)
出力 78mV (-20dB)
負荷インピーダンス 8 ohm 
周波数特性
30 - 25000 Hz +/- 1dB
歪率
定格出力で 0.1%
SN比
60dB


と言う事で、モノとしては、割としっかり作ってあるけれど、機能としてはあまり本格的なミキサーとも言えない。入出力がアンバラのみだし、信号レベルも低いので、やはり民生向けの商品であるようだ。

ナウなヤングがデンスケと組み合わせてナマロクしてた時代に企画された商品だから、なのかもしれない・・

今風に使うなら、ポータブル用途の設計で電池駆動という事もあるし、ガジェット系楽器をMIXしてKAOSSPADみたいなエフェクタに送る用途に合いそうだ。ちょっと大きくて重いのが欠点だけど。 あと、ビデオ素材としてVUメーター撮影とかメーター利用がいいかもしれない...

楽器用ととしてミキサーを探している、などという方には全く不向きな機種だとおもうが、スペックは弱いが筐体はかなりしっかり作られているし、この時代のもの作りの意気込みを感じさせるものではある。そのへんを見極められる人なら面白い玩具になるかもしれない・・500〜1000円ジャンクなら拾って損はない、と思う

ということで、買ってから置き場所と使い道を考えなきゃ、とやや本末転倒気味だが、なんか昔こういうのを意味もなく欲しかった記憶が蘇ったり、分解を楽しんだり、ちょっとしたインドアリクレーションになったのは確かだ・・