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まずはBehringer の model D という機種。これは 近年過去の銘器と呼ばれるアナログシンセのクローンを作り始めたBehringerが、あの有名なMoogのMiniMoogのクローンとして作ったもので、回路的にオリジナルをほぼ踏襲し、パネルレイアウトもほぼ同じで、小さな筐体でMIDI音源化されている。
MiniMoogは70年代初頭の機種で、出現から半世紀近く経つ、既に希少な骨董品、近年Moog自身が復刻したものも限定生産品、どちらもどこでも買えるというものでもなく、また高価格なので、素人が遊ぶ為に気楽に買えるものではない。
シンセサイザーのすべて(1978年の雑誌記事)で65万円という高価格
とはいえ、小型アナログシンセの元祖的存在として興味深いものであり、もし安く買えるなら、シンセ好きの多くは一度は使ってみたいと思える機種でもある。
"ミニムーグはシンセサイザーのホームラン王" という昭和な紹介記事
だから、このBehringerのクローン機種を出した事が、ちょっとした話題になったわけだ。
売り出されて1年程度経つからか、昨年秋なぜか値下げされ、また年末にアマゾンでメーカー保証付きの再生品というものが更に安く出たので、思わず買ってしまったという次第。
パネルのスイッチやツマミ類は、オリジナルのレイアウト、デザインを踏襲している。違うのは、LFOが追加されている、LPFだけでなくHPFにも切り替えられる、
セミモジュラー的にいくつかパッチ用の入出力端子が追加されていることだろうか。
ユーロラック互換のパネルという事で、ユーロラックのシステムに組込むことができるそうだ。
スイッチはオリジナルの形状を模したものだけど、ちょっと"ちゃち"な気もする。
3VCO、24dB/Oct のラダーフィルター、どこをどう弄っても、あの独特の野太い音がする。
この独特の音は他の楽器に埋もれない存在感があり、これがシンセベースやリードに多用されたのだろうとおもう。そういう音がする。
逆にいえば、個性、主張がキツいので他の楽器音との "馴染み" が悪いというか、これだけ浮いてしまう、隠し味みたいな、あるいはバッキング装飾音みたいなことには使いずらいのかもしれない。 とにかく、Moogではないけど、あの独特のMoogの音がする。
シンセとしてのオリジナリティはない、レプリカ、クローンなので仕方がない、という欠点もあるけど、楽器は弾いてなんぼ、音を出してなんぼでもあると割り切って考えるなら、面白い音源だと思う。
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失敗談として、購入直後、ファームウエアは最新にしておいたほうがよかろう、と、Behringerのページで探すと1.0.5というのが置いてあったので、何も考えず、それが最新だろうとそれを入れてみた。しかし、なにか可怪しい。よくよく調べてみると、最新は1.1.1とかいうもので、しかし、そのファームウエアは配布されていない・・ ファームウエアとしてサーチして出てくるものは1.0.5しかないのでそれが最新とおもったら、違ったのだ。 元々入ってたバージョンを失念してしまったので、もしかしたらダウングレードしてしまったのかもしれない...
結局updateの仕組みが変わって、SynthToolという設定ツールでファームウエアのアップデートを行う様になっているということがわかったのだが、どういうわけか、SynthToolを使ってもうまくアップデート出来ないということがあった。
とても困ったので、ベリンガーが運営するMusicTribeとかいう仕組みでアカウントを取ってサポートチケットで質問してみた・・ サイトそのものが英語なので、英語で質問してみたら、なんと日本にサポート部隊があって、日本人スタッフから日本語で返答が来た。SythToolからのアップデートはやはりなぜか出来なかったが、SynthTool以前の仕組みのファームウエアアップデータを用意してくれて、無事1.1.1にupdateできた… 相変わらず私の環境ではSynthToolのupdateはうまく動かないようだが、とりあえず最新にはできた。 ファームウエアなどのupdateでwindowsなりMacなりが必要というのは、やはりいただけない。OSに依存すると、動く、動かない、あるいは相性みたいな問題が発生するからね。
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お次は、Arturia Keystep
これは、ステップシーケンサ、アルペジエイターのついたMIDIキーボードで、鍵盤はミニサイズのものである。 model D は鍵盤もシーケンサーもついてないので、これも同時に買った。
キーボードはなかなかしっかりした作りで、ミニにしては、とても良い感触だと思う。
ベンドやモジュレーションなどのホイールは、ホイールでなく、タッチセンス。問題なく動作するけど、これは普通のホイールの方がありがたかった。
MIDIだけでなく、アナログのCV,GATE、SYNC端子が出ているので、アナログシンセ用としてももってこいのキーボードでもある。SYNCはKORGのvolcaにも対応している・・・これを買ったのはアナログでvolcaと同時に使うためでもあった。
ただ、SYNC信号はシーケンサー再生時にしか出ないので、これをクロックマスターにすると、下流のvolcaは本機のシーケンスが走ってない時は止まってしまう。volcaのクロックはシーケンサが走っていようが止まっていようが常時パルスを吐き出すのだけど、keystepは違う。
それではと、Keystepをvolcaの下流、スレーブとして接続すると、今度はkeystepのシーケンサーがvolcaの常時クロック出力を受けて接続した瞬間勝手に走ってしまう事になる。
つまり全然使えない、ということで、最初大いに失望したのだけど、これは設定で"Arm to start" にすることで、ストップさせる事が出来て、なんとかvolcaと繋ぐことができた。
しかしこの常態だと、シーケンスの始まり、頭からの再生が何故か出来ない。ストップしてからスタートすると、本来ならシーケンスの頭からの再生になるはず、なのだけど、アナログのSYNCだとポーズになってしまって、止まった所から再スタートしてしまう。
走らせた状態で、途中でファンクションでリセットをかけると、頭は出るのだけど、停止、無音からスタートさせて、当然スタートで頭から再生するべき、なのに、なぜかできない。
これ、バグじゃないかと思う。
まぁしかし、空、無音のシーケンスを走らせて、リアルタイムで弾きながら打ち込んでいって、どんどん上書きする、というスタイルで使う分には、どこが頭であろうと関係ないのかもしれないけど。
一度サポートに質問してみようかと思う。ArturiaはKORG扱いだけど、サポートがKORGかどうか、日本語が通じるのかよくわからない・・・
ハズレ、とまでは言わないけど、思ったとおり動かないのはちょっと憂鬱だな。
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という事で、買ったばかりで、あまりつかっていない、あるいは理解してない面もかるけど、久々に楽器を仕入れてみたというお話でした。まあぼちぼちと、使ってゆこう・・・
まあ自己満足のお遊びだけど、こんな事でも、なにかやってる感が得られる、おっさんの趣味ではある。
おわり