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Wednesday, December 02, 2015

今日のOPアンプでヘッドフォンアンプのナゾ

工作memo: ありあわせの材料で、ありがちなOPアンプ回路でヘッドフォンアンプを作ってみたというだけのお話・・
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なんとなく、ラインレベルの信号を入力して音を出すヘッドフォンアンプがあったら便利かな、と思いついて、ありあわせの材料で適当に作ってみた。

想定ヘッドフォンは現用のAKGのK270とK702である。インピーダンスが70Ω前後で、能率が93dB/mW前後と感度が低めのヘッドフォン。もはや音楽を聞くことはあまりないのだが、楽器の演奏・録音モニターとしては常用している。

最初は勉強を兼ねて簡単なディスクリート回路で組もうかとも思ったのだが・・だんだん面倒臭くなってきたので、結局ありがちなOPアンプをそのまま使う回路を作ってみることにした・・

電源は電池又はその辺に転がってる余ったACアダプタを突っ込んで使える様な簡易なもの、接続機器を壊さない様、安全第一として入出力はDCが出ない様にコンデンサでカップリング、正負電源ではなく単電源仕様にする、ゲインは少なめ、ケースを含めて、すべて手持ちの部品だけで作る…という条件で考えた。 ちまたのヘッドフォン、イヤフォンブーム、ハイレゾブーム的な良い音云々は考慮しない・・

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という事で回路。オペアンプ1石によるステレオヘッドフォンアンプ。

オペアンプは、本来ヘッドフォンの様なインピーダンスの低いものに電力を送るにはあまり適しているとは言えない。ラインレベルで600Ω負荷をドライブ出来る高出力が売りの5532などのオペアンプがあるが、それでもやっとこ600Ωをフルスイング出来る、というのがオペアンプICの能力なのである。真面目に考えるなら、ヘッドフォンのインピーダンスは更に低いので、トランジスタでバッファを入れる必要がある。

ただ、実際にはヘッドフォンを繋いでも、安全動作の範囲内で実用になる程度の出力を出す事は可能、という事で、オペアンプだけを使ったヘッドフォンアンプは、アマチュアに人気のある方式。



ありあわせの部品を適当に使っているので、個々の定数に意味があったりなかったりする。何で50Ωなのか、6.8uF、220uFなのか・・というと、たまたまその値の部品があったから、これ使っとけ、というやり方である。
( 例えば出力カップリング用の220uFは少なめで、この値だと低インピーダンスのヘッドフォンだと低域が減衰してしまう・・のだが)

教科書的な非反転増幅そのまま。OPアンプ回路で6倍だが、その先に直列に50Ωの抵抗を入れているので実質はヘッドフォンを繋ぐと3倍程度になるはず。

この出力の抵抗は、OPアンプから見てなるべく負荷をかるくする、あるいは電流制限の保護抵抗的な意味なのだが、電子楽器系で使う機器では、それだけではなく、ステレオジャックにモノラルのフォンジャックを突っ込む事も考えられるので、この直列抵抗は入れておいた方がよいのである。

ヘッドフォン以外絶対に使わないのであれば関係ないのだが、楽器機材の延長で使う場合は、安全性や使い勝手の面から抵抗は入れておいたほうが良い。

ステレオプラグを挿せばステレオ、モノを挿せばモノ(左)として出た方が使い勝手が良いのだが、抵抗無しの直結だとモノプラグを刺した場合、左の出力がモノとして出るには出るが、右は短絡なので、短絡したまま音を出すと、IC内の出力トランジスタが加熱してしまいうまくないのである。

今回のこの回路でもモノプラグを挿せば右側出力はその50Ωが負荷になってしまい、それはそれでオペアンプから見ると十分過負荷なのだが、直結のショートよりは断然マシでICにも優しい。

(余談だが、モノラルIC出力をそのまま左右に振り分ける回路もあるけど、直結だとモノラルプラグを突っ込むとショートしてしまい、音が出なくなるKORGのmonotronの出力が正にそれで、ステレオミニ出力→標準フォン変換アダプタに楽器用のモノラルプラグを刺すと右側がショートしてしまい、結果として音が出ないというトラブルになる。当方のYouTubeの動画にも音が出ないとコメントが入ったことがある。数10Ω程度入れておけばレベルは下がるけどICも問題なく音も出るのだが・・)

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ということで、これをさっそく適当に基板に組んでみた。全部あり合わせの部品なので、コンデンサがデカいとか見てくれは悪い・・


まずは006P電池で動かしてみた・・・

JRCの 4580 と 5532 をつかってみたのだが、音が良いとか悪いとかは別にして、どちらも十分使えるレベルの音圧が得られた。とりあえず今回は5532を使うことにした・・


f特がどうのS/Nがどうの最大出力がどうの、測定も何にもしていないが、とりあえず鳴ってるからいいや、という事で置いておく。ケースもありあわせの、なんの飾りもない、裏蓋もない、ジャンク的な汎用ケースでバラック的に組む・・

このままACアダプタ端子を止めて電池仕様にしてしまおうか、と思ったが、電池の交換、出し入れ、固定、など、面倒なので、最終的にはACアダプタ仕様とした。

ACアダプタはギター系9Vセンターマイナスでも、今時一般的なセンタープラスの奴でも両方使える様にダイオードでブリッジを組んでいる。AC出力のACアダプタ(変な言い方だけど)も当然使える・・ 

電圧は 5Vだとなんとか音は出るけどよほど小さい音以外は歪んでしまう。ICの動作下限以下だから仕方がない。

9Vだと十分鳴る感じ。

原理的には、OPアンプの耐圧まで、5532だと片電源で36V程度までは上げられるはずだが、今回は電源ラインのケミコンの耐圧が16Vなので、そこまでしか使えない。また結局ヘッドフォンはOPアンプから見るとやはり重たい負荷なので、いくら電源電圧を上げても内部の電流能力の制限にひっかかってパワーが増やせるわけではない

先日買ったジャンクのSONYミキサーの出力につないでみたが、こういう民生用品のラインレベルのモニター用に十分な音量が出る事を確認できた。


ただ、このミキサーのヘッドフォン端子は低インピーダンスかつ高能率のヘッドフォンを想定しているのか出力が電圧的にも低くて、今回のアンプのゲインではそれを補う事はできなかった。汎用性をもたせるなら、もうちょっとゲインを上げてもよかったかな、という事かもしれない・・・

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どんなACアダプタを突っ込んでも動くというコンセプトは、たしかに使い勝手は良いはずなのだが、結局現実のACアダプタは、プラグのサイズ、形状が様々であり、極性は吸収できてもサイズ差は吸収できない・・ 例えばプラグ外径は合致して刺せても、内側の穴のサイズとピンの差があるとか、刺さっても寸法が微妙に違って接触が悪い・・などと現実は厳しい・・

とりあえずそこそこ鳴るので、やっぱ内部で正負電源作って出力からコンデンサを外したほうがよかったかも、DC出ても抵抗入れときゃヘッドフォンが焼けるまでいかないだろうし、などと思えてきたりもしたのだが、とりあえず動くものが出来たのでしばらくこのまま使ってみる事にする・・

おわり